ブラジル回顧記 Part.2
Interview with Joe Hisaishi Part.2-----
映画祭では、僕は主要映画部門の作品を9作品観たのですが、オープニング作品と、エンターテイメント性の強かった香港映画を除いて、残りの7作品は、すべて戦争がらみの題材を扱っているということが最大の特徴でした。
世界各地で起こっている紛争の中で、亡命している人間や、戦争でどんどん狂気に陥っている人間を描いていて、今現在、世界の情勢がどれほど激しく動いているのかを強く実感できたのが大きな収穫でした。個人的な印象で言うと、大きい国々が戦っていないから第三次世界大戦のように“戦争”という意識がないけれど、世界各地ではこんなにも紛争が起こってしまっている…。“戦後”ではなく、今は“戦時下”なんだという認識を強く持ちました。
そしてまったく無関係に、認識もなく生きている日本人はこれでいいのか?とも強く感じましたね。
やはり日本人はもう少し世界の中での動きや、それに対しての日本のあり方を真剣に考えないと、ますます世界中から取り残されてしまっているだろうと、危機感を感じました。新聞には載っていないような、世界の動きを、我々はもっと知らなければいけなかったのだと、自分も含めてすごく反省する良いきっかけになりました。
グランプリはイラン映画の『FOR A MOMENT, FREEDOM』に全員一致で決まりました。
でも、全員一致というのは、あんまり正しくないですね。本来であれば、各々が「あれがいい!」「いやこれがいい」と意見を戦わせて最後に選ばれるのが映画祭の醍醐味だと思うからなのですが。でも、この作品は群を抜いて良くて、僕も反対のものを何か選ぼうとしたけれど難しかったんです。人物も非常に丁寧に描かれていて、特に脚本が素晴らしかったとも言えますね。
あとは、映画祭の審査員がすごくみんな仲良くなって、別れるのがつらいと言っていたのが印象的ですね。審査員の中には女優さんもいらしたのだけれど、「私は観客を考えない人は嫌い。そういう映画はよくない!」っていう視点から、自分の意見をすごくはっきり述べていて、他のみんなも映画に対するリスペクトがとても感じられてすごく良かったです。みんなやっぱり根っから好きなんだなって、感心しました。
個人的には、今年はミュージカルから始まり、宮崎さんの作品とか、夏の武道館や秋のコンサートツアーと、ちょうどこの時期にまったく違う場所に行って、非常に気分転換や意識転換ができてとてもよかったです。
ブラジル回顧記 Part.1
ブラジルから帰国後早々、久石は今回のブラジル滞在のこと、
そして審査員として参加した映画祭のことについて語ってくれました。
スタッフが聞いた久石のインタビューをお送りします。
Interview with Joe Hisaishi Part.1-----
今回34時間もかけてブラジルに訪れた目的は、マナウスで開催される映画祭(正式名称“Amazonas Film Festival”)の審査員に招致されたためです。
初の試みとして、毎日時間のあるときに携帯に日記を書いて、日本に送信していたのですが、最終日に携帯を失くしてしまって…(苦笑)
このブラジル回顧記は今回のブラジル旅行の総括編です。
さて、今回の映画祭は、南米・ブラジルのアマゾン地域の町で映画祭が開催されたのですが、なぜこの町で映画祭が行われるのか? ということに、僕はとても興味を持っていました。
映画祭の実行委員会はLionelさん率いる外国人チームで構成され、モロッコ映画祭などの世界各地の映画祭を手掛けているメンバーによって取り仕切られていたのですが、実に素晴らしいシステムだと感じました。
というのも、マナウスは160万人くらいの想像以上に大きな町で、町の中心にはアマゾナス劇場というパリのオペラ座を模倣したシアターがあり、そこで連日映画祭の作品が上映されていました。
ブラジルの地方都市の中でも規模の大きい都市で、物価も高く、なおかつ産業的にも拓けていて、近年は海外からの注目も非常に高く、今後もものすごく発展していくだろうと思われる都市なのですが、残念なことに文化がないのです。町全体の雰囲気も、どこかひと昔前の工業地帯のようで、文化の香りがしません。
こういった、文化の未熟な場所で、海外のチームが率いるフェスティバルのシステムを導入した最大の目的が、町全体で映画祭に取り組むことにより、文化レベル・知的レベルの向上を目指し、そして観光地としての都市のイメージアップを図るということだったのです。
今回で5回目となるこの映画祭では、僕の審査した主要作品部門の他にも、ドキュメンタリー部門や5分のショートフィルム部門も充実していました。特に後者のショートフィルム部門では一般参加型となっていて、マナウス近郊に住む人たちもワークショップを開いたり参加したり、出品できるのです。こうした町全体が映画祭に参加していたことは、社会貢献度の高いとても意義のある素晴らしいものであったと思います。
【Part.2へとつづく…】
From Rio de Janeiro
From Joe Hisaishi-----
写真送ります。

Mobile PhoneよりJoe Hisaishi撮影
Film Festival
From Joe Hisaihi-----
映画祭は審査員全員一致でイラン映画
『FOR A MOMENT,FREEDOM』に決まった。
不思議なものでアメリカ、ヨーロッパの役者、イギリス、
ブラジルの監督、フランスの脚本家、それに日本の作曲家など
環境がまったく違う審査員がいろいろあって結束して、
最後はファミリーのように仲がよかった。
このまま続いてもいいと思うほどだったが、
すべてには終わりがくる。
盛大なパーティーを抜けてリオにきたのだが、
意外に寒かった。四季もあり今は春の始まりだ。
夜はサンバのライヴを観た。ショーアップされていて、まあまあ。
明日はいよいよ最後、街で買ったCDや中古レコードが
かさばるのでパッキングが心配だ。
Rio de Janeiro 2
From Joe Hisaishi-----
今、無事にリオデジャネイロに着いた。
これから少し眠ります。
ホテルの部屋からの眺めを届けます。


Mobile PhoneよりJoe Hisaishi撮影
Sunny and the Elephant
From Joe Hisaishi-----
昨夜はポルトガル語と英語で舞台挨拶をした。
今回はインタビューすべてを英語でこなしている、
いやー、アハハ。
その後、去年書いたフレデリック・ルパージュ監督の
「サニー&エレファント(Sunny and the Elephant)」が
野外で上映された。初めて観たが音響などいつくか問題あり。
Jungle and Guitar
From Joe Hisaishi-----
ジャングルのアリアウホテルで一泊して、今朝は
ピンクのイルカと泳いだ。餌の魚も直接あげて満足だったが、
飯島くんはイルカの体当たりにあい、その感触にへこむ(^ー^)
昨日チェッキーが(『ドーベルマン』などで有名な個性派俳優)
僕のためにギターの弾き語りで歌ってくれた。
ソロアルバムもいただいた。役者としてもすごいのに
多才でしかも一途、良い奴だ。
Teatro Amazonas
From Joe Hisaishi-----
昨日はアマゾン川(ネグロ川)のクルージングの後、
劇場に戻ってケリーチャン主演の香港映画(娯楽としてはいいが
映画祭の出品としては場違いだろう、ちょっと恥ずかしかった)
を観て、小休止してチェチェンの映画を観た。
好きなタイプの映画ではないがグレードは高かった。
審査委員長のアランパーカー(『エビータ』などの監督)と
劇場の音が大き過ぎると再三クレームを入れたが
ここブラジルではこれが当たり前らしい。
その後お決まりのパーティーなのだが、映画が終わるのが
11時過ぎなので場所移動して適当に消えるのが13時近くなる。
でも楽しい。
皆僕の音楽を知ってるし、とても大事にしてくれているのがわかる。
来てよかった。娘の麻衣も合流、日本チーム意気盛んです。
Cruising
From Joe Hisaishi-----
昨日は2本映画を観た。
感想は今度書く。
今はクルージングの真っ最中。
写真を送る。

Mobile PhoneよりJoe Hisaishi撮影
Red carpet
From Joe Hisaishi-----
初日のプログラムをこなした。
レッドカーペットを歩くのが7時で白バイ(こちらでは何というのか?)
先導の隊列を作っての移動だったが、渋滞にあって20分遅刻。
それでも誰も気にしない、さすがブラジル(^ー^)
道路の排気ガスの匂いは昭和の日本を思い出す。
セレモニーは何処もおなじ、一部のオッサンが「私がやった」的に
ダラダラスピーチして長くて締まりのないものだった。
隣にいた『スクリーム』などで主演した女優(ネーブ・キャンベル)さんと
下向いて苦笑。
コンペの作品は僕が大好きな映画――のパクリ、若いブラジルの監督だが、
こういうことをすると後がきついだろう。作家は自分を偽ると作れなくなる。
他山の石、夢夢忘れること無きように肝に命じた。
ほんと、眠い。48時間くらいまともに寝てない。
明日は11時からスクリーニング、できたらその前に泳ぎたい。
Manaus
JPN Time,01:59AM Nov.8th,2008
From Joe Hisaishi-----
マナウス到着です。34時間さすがに遠い。
地球の真裏からそれより奥地に来たわけだからね、
映画祭の審査員、本業でもないのにこんなところまで来ちゃって、
一生こういう機会でもないと来ることないから、
まあそれですね(´ー`)
思ったほど暑くなく今は雷を伴った雨が降ってきた。
雷の音は日本と同じで何故かホッとする、当たり前か。
今晩レッドカーペット歩いて最初のコンペ作品を観る。
意外に待ち時間が多いのでこのmailは続くかも(^―^)
と書いていたら停電になった。たいした雷でもないのに。
不穏なムード漂うマナウス……。
Rio de Janeiro
From Joe Hisaishi-----
リオデジャネイロ着。
バッゲージ出るのが遅くやや焦る。
意外に暑くない。早朝のせいか。
飯島君は24時間中20時間寝ていた。
今バリバリで元気だ。

Mobile Phoneより久石撮影
email de Paris
パリからのメールが届きました。
実は、昨日のお昼に成田空港を発った久石。
ブラジルのマナウスにて11月7日~13日に開催される
“Amazonas Film Festival”の審査員として招致されているのです。
成田からパリ経由でリオデジャネイロ、そしてマナウスへと
片道30時間超えの長旅。
パリの空港に到着後、早速メールを送ってくれた久石。
それでは、本人からのメール、第一弾をお届けします。
JPN Time:01:02AM Nov.7th,2008
From Joe Hisaishi-----
パリ着。12時間かかってもまだ半分にも
なってないとは(>_<)ブラジルは遠い。
パリは東京よりやや寒い。夕暮れの空港は
何か物哀しい。タバコでも吸おうか、外で。

パリの空港です。
(※携帯電話にて撮影)

