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ブラジル回顧記 Part.2

2008年11月28日

Interview with Joe Hisaishi Part.2-----

Jury.JPG

映画祭では、僕は主要映画部門の作品を9作品観たのですが、オープニング作品と、エンターテイメント性の強かった香港映画を除いて、残りの7作品は、すべて戦争がらみの題材を扱っているということが最大の特徴でした。
世界各地で起こっている紛争の中で、亡命している人間や、戦争でどんどん狂気に陥っている人間を描いていて、今現在、世界の情勢がどれほど激しく動いているのかを強く実感できたのが大きな収穫でした。個人的な印象で言うと、大きい国々が戦っていないから第三次世界大戦のように“戦争”という意識がないけれど、世界各地ではこんなにも紛争が起こってしまっている…。“戦後”ではなく、今は“戦時下”なんだという認識を強く持ちました。
そしてまったく無関係に、認識もなく生きている日本人はこれでいいのか?とも強く感じましたね。
やはり日本人はもう少し世界の中での動きや、それに対しての日本のあり方を真剣に考えないと、ますます世界中から取り残されてしまっているだろうと、危機感を感じました。新聞には載っていないような、世界の動きを、我々はもっと知らなければいけなかったのだと、自分も含めてすごく反省する良いきっかけになりました。

グランプリはイラン映画の『FOR A MOMENT, FREEDOM』に全員一致で決まりました。
でも、全員一致というのは、あんまり正しくないですね。本来であれば、各々が「あれがいい!」「いやこれがいい」と意見を戦わせて最後に選ばれるのが映画祭の醍醐味だと思うからなのですが。でも、この作品は群を抜いて良くて、僕も反対のものを何か選ぼうとしたけれど難しかったんです。人物も非常に丁寧に描かれていて、特に脚本が素晴らしかったとも言えますね。

あとは、映画祭の審査員がすごくみんな仲良くなって、別れるのがつらいと言っていたのが印象的ですね。審査員の中には女優さんもいらしたのだけれど、「私は観客を考えない人は嫌い。そういう映画はよくない!」っていう視点から、自分の意見をすごくはっきり述べていて、他のみんなも映画に対するリスペクトがとても感じられてすごく良かったです。みんなやっぱり根っから好きなんだなって、感心しました。

個人的には、今年はミュージカルから始まり、宮崎さんの作品とか、夏の武道館や秋のコンサートツアーと、ちょうどこの時期にまったく違う場所に行って、非常に気分転換や意識転換ができてとてもよかったです。

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ブラジル回顧記 Part.1

2008年11月26日

ブラジルから帰国後早々、久石は今回のブラジル滞在のこと、
そして審査員として参加した映画祭のことについて語ってくれました。
スタッフが聞いた久石のインタビューをお送りします。


Interview with Joe Hisaishi Part.1-----

今回34時間もかけてブラジルに訪れた目的は、マナウスで開催される映画祭(正式名称“Amazonas Film Festival”)の審査員に招致されたためです。
初の試みとして、毎日時間のあるときに携帯に日記を書いて、日本に送信していたのですが、最終日に携帯を失くしてしまって…(苦笑)
このブラジル回顧記は今回のブラジル旅行の総括編です。

amazonasfilmfestival.JPG

さて、今回の映画祭は、南米・ブラジルのアマゾン地域の町で映画祭が開催されたのですが、なぜこの町で映画祭が行われるのか? ということに、僕はとても興味を持っていました。

映画祭の実行委員会はLionelさん率いる外国人チームで構成され、モロッコ映画祭などの世界各地の映画祭を手掛けているメンバーによって取り仕切られていたのですが、実に素晴らしいシステムだと感じました。
というのも、マナウスは160万人くらいの想像以上に大きな町で、町の中心にはアマゾナス劇場というパリのオペラ座を模倣したシアターがあり、そこで連日映画祭の作品が上映されていました。
ブラジルの地方都市の中でも規模の大きい都市で、物価も高く、なおかつ産業的にも拓けていて、近年は海外からの注目も非常に高く、今後もものすごく発展していくだろうと思われる都市なのですが、残念なことに文化がないのです。町全体の雰囲気も、どこかひと昔前の工業地帯のようで、文化の香りがしません。

こういった、文化の未熟な場所で、海外のチームが率いるフェスティバルのシステムを導入した最大の目的が、町全体で映画祭に取り組むことにより、文化レベル・知的レベルの向上を目指し、そして観光地としての都市のイメージアップを図るということだったのです。

今回で5回目となるこの映画祭では、僕の審査した主要作品部門の他にも、ドキュメンタリー部門や5分のショートフィルム部門も充実していました。特に後者のショートフィルム部門では一般参加型となっていて、マナウス近郊に住む人たちもワークショップを開いたり参加したり、出品できるのです。こうした町全体が映画祭に参加していたことは、社会貢献度の高いとても意義のある素晴らしいものであったと思います。

【Part.2へとつづく…】

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From Rio de Janeiro

2008年11月15日

From Joe Hisaishi-----

写真送ります。

riodejaneiro.jpg
Mobile PhoneよりJoe Hisaishi撮影

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Film Festival

From Joe Hisaihi-----

映画祭は審査員全員一致でイラン映画
『FOR A MOMENT,FREEDOM』に決まった。

不思議なものでアメリカ、ヨーロッパの役者、イギリス、
ブラジルの監督、フランスの脚本家、それに日本の作曲家など
環境がまったく違う審査員がいろいろあって結束して、
最後はファミリーのように仲がよかった。
このまま続いてもいいと思うほどだったが、
すべてには終わりがくる。

盛大なパーティーを抜けてリオにきたのだが、
意外に寒かった。四季もあり今は春の始まりだ。
夜はサンバのライヴを観た。ショーアップされていて、まあまあ。
明日はいよいよ最後、街で買ったCDや中古レコードが
かさばるのでパッキングが心配だ。

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Rio de Janeiro 2

2008年11月14日

From Joe Hisaishi-----

今、無事にリオデジャネイロに着いた。
これから少し眠ります。
ホテルの部屋からの眺めを届けます。

oceanview.jpg

oceanview2.jpg
Mobile PhoneよりJoe Hisaishi撮影

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Sunny and the Elephant

2008年11月13日

From Joe Hisaishi-----

昨夜はポルトガル語と英語で舞台挨拶をした。
今回はインタビューすべてを英語でこなしている、
いやー、アハハ。
その後、去年書いたフレデリック・ルパージュ監督の
「サニー&エレファント(Sunny and the Elephant)」が
野外で上映された。初めて観たが音響などいつくか問題あり。

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Jungle and Guitar

2008年11月12日

From Joe Hisaishi-----

ジャングルのアリアウホテルで一泊して、今朝は
ピンクのイルカと泳いだ。餌の魚も直接あげて満足だったが、
飯島くんはイルカの体当たりにあい、その感触にへこむ(^ー^)

昨日チェッキーが(『ドーベルマン』などで有名な個性派俳優)
僕のためにギターの弾き語りで歌ってくれた。
ソロアルバムもいただいた。役者としてもすごいのに
多才でしかも一途、良い奴だ。

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Teatro Amazonas

From Joe Hisaishi-----

昨日はアマゾン川(ネグロ川)のクルージングの後、
劇場に戻ってケリーチャン主演の香港映画(娯楽としてはいいが
映画祭の出品としては場違いだろう、ちょっと恥ずかしかった)
を観て、小休止してチェチェンの映画を観た。
好きなタイプの映画ではないがグレードは高かった。
審査委員長のアランパーカー(『エビータ』などの監督)と
劇場の音が大き過ぎると再三クレームを入れたが
ここブラジルではこれが当たり前らしい。
その後お決まりのパーティーなのだが、映画が終わるのが
11時過ぎなので場所移動して適当に消えるのが13時近くなる。
でも楽しい。
皆僕の音楽を知ってるし、とても大事にしてくれているのがわかる。
来てよかった。娘の麻衣も合流、日本チーム意気盛んです。

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Cruising

2008年11月11日

From Joe Hisaishi-----

昨日は2本映画を観た。
感想は今度書く。
今はクルージングの真っ最中。
写真を送る。

cruising.jpg
Mobile PhoneよりJoe Hisaishi撮影 

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Red carpet

2008年11月08日

From Joe Hisaishi-----

初日のプログラムをこなした。
レッドカーペットを歩くのが7時で白バイ(こちらでは何というのか?)
先導の隊列を作っての移動だったが、渋滞にあって20分遅刻。
それでも誰も気にしない、さすがブラジル(^ー^)
道路の排気ガスの匂いは昭和の日本を思い出す。
セレモニーは何処もおなじ、一部のオッサンが「私がやった」的に
ダラダラスピーチして長くて締まりのないものだった。
隣にいた『スクリーム』などで主演した女優(ネーブ・キャンベル)さんと
下向いて苦笑。
コンペの作品は僕が大好きな映画――のパクリ、若いブラジルの監督だが、
こういうことをすると後がきついだろう。作家は自分を偽ると作れなくなる。
他山の石、夢夢忘れること無きように肝に命じた。
ほんと、眠い。48時間くらいまともに寝てない。
明日は11時からスクリーニング、できたらその前に泳ぎたい。

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Manaus

JPN Time,01:59AM Nov.8th,2008

From Joe Hisaishi-----

マナウス到着です。34時間さすがに遠い。
地球の真裏からそれより奥地に来たわけだからね、
映画祭の審査員、本業でもないのにこんなところまで来ちゃって、
一生こういう機会でもないと来ることないから、
まあそれですね(´ー`)
思ったほど暑くなく今は雷を伴った雨が降ってきた。
雷の音は日本と同じで何故かホッとする、当たり前か。
今晩レッドカーペット歩いて最初のコンペ作品を観る。
意外に待ち時間が多いのでこのmailは続くかも(^―^)
と書いていたら停電になった。たいした雷でもないのに。
不穏なムード漂うマナウス……。

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Rio de Janeiro

2008年11月07日

From Joe Hisaishi-----

リオデジャネイロ着。
バッゲージ出るのが遅くやや焦る。
意外に暑くない。早朝のせいか。
飯島君は24時間中20時間寝ていた。
今バリバリで元気だ。

Mr.Iijima.jpg
Mobile Phoneより久石撮影

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email de Paris

パリからのメールが届きました。

実は、昨日のお昼に成田空港を発った久石。
ブラジルのマナウスにて11月7日~13日に開催される
“Amazonas Film Festival”の審査員として招致されているのです。

成田からパリ経由でリオデジャネイロ、そしてマナウスへと
片道30時間超えの長旅。
パリの空港に到着後、早速メールを送ってくれた久石。
それでは、本人からのメール、第一弾をお届けします。


JPN Time:01:02AM Nov.7th,2008

From Joe Hisaishi-----

パリ着。12時間かかってもまだ半分にも
なってないとは(>_<)ブラジルは遠い。
パリは東京よりやや寒い。夕暮れの空港は
何か物哀しい。タバコでも吸おうか、外で。

ParisCDGairport.jpg
パリの空港です。
(※携帯電話にて撮影)

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5/19 早稲田大学講義

2007年05月19日

 5月19日の土曜日、第3回目となる久石の講義が早稲田大学で行われました。

 「マスターズ・オブ・シネマ」と題されたこの講義ですが、さすがに3回目ともなると、「何を話そう?」とずっと悩み続けていた久石でした。実は、講義前日まで3日間にわたる徹夜同然のミックス作業が続いており、「あと1時間考える時間があれば、もっと完璧な構成ができるのになぁ…」と本人も言っていたのですが、宮崎駿監督の『ハウルの動く城』をテーマに取り上げた内容は、非常に話題に富んでおり、充実したものだったと思います。

 講義はとても和やかな雰囲気で行われ、チェコフィルの演奏で素晴らしい完成度の「ミステリアス・ワールド」(イメージ交響組曲に収録)を映画本編に使用しなくなってしまったエピソードや、反対に場面を意図せずに作曲していた「ケイヴ・オブ・マインド」が、たまたま映像とマッチしてしまったという不思議な逸話など(サウンドトラックには「星をのんだ少年」としてリアレンジされ収録されています)、久石本人からの貴重な話が聴けるまたとない機会に、学生さんは熱心に聴き入っていました。
 最後の質疑応答の時間では、「宮崎駿監督の次回作『崖の上のポニョ』ではどんな曲になるのでしょうか??」といった鋭い質問に久石もドギマギする場面もあり、笑いを誘っていました。

 当日は約800人も入る会場に立ち見まで出る超満員でしたし、何よりも久石本人が、短い時間の中でも満足のいく講義が出来たとのことで、たまにはこういった特別な講演があるのもいいもんだな、と言っていました。今年中?もしくはまた来年?、久石の講義が聴ける機会を期待したいですね!

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4/24 NISSAN イベント

2007年04月24日

2007/4/24

 本日、久石は、スカイライン生誕50周年セレモニーに出席。
久石が日産スカイラインのCMの音楽を担当されていたことをみなさんもご存知かと思います。本日はその日産スカイラインの生誕50周年を記念したイベントにゲストとして招かれたのです。
会場は今月オープンしたばかりの東京ミッドタウンにあるミッドタウンホール。出来立てのとても素敵なホールでした。 

 イベントではまず、歴代の開発者たち、そして日本の誇れる名車・スカイラインの50年の歴史がその当時の時代背景と共に紹介されました。車とはいつの時代でも当時の世相を表すもの、世の中の流れを反映した車の歴史はとても興味深かったです。続いてCMに出演してらっしゃるイチローさんからのコメントが発表された後、いよいよ久石が登場です。

 この日はCMで使われている曲『I will be 』が「完成版」として初披露されました。
「完成版」とはどういうことか。実は、久石はこの日のために、CM用として作曲され短い楽曲だったのものを、一つの楽曲と完成させるために拡大・発展。そしてCMでもコラボレートしている麻衣が、新たに詩を書き下ろし、新たにレコーディングとミックスをし直し、『I Will Be』は、CMとは全く違った趣の「完成版」の楽曲へと生まれ変わったのです。
この曲の持つスピード感、爽快感は、新たに加わった麻衣による詞によりさらに増幅されたように思えます。会場にいらっしゃったお客様の心にも、CMとまたひと味違って、深く印象づけられたのではないでしょうか。

 久石に引き続き、世界を股にかけて活躍する渡辺謙さんも登場。その後、久石、麻衣、渡辺謙さん、そして日産クリエイティブオフィサーの中村史郎さんとのトークショーが行われました。多くの報道陣も参加する賑やかなイベントとなりました。

詳細は以下のページにも掲載されています。
http://blog.nissan.co.jp/SKYLINE/archives/2007/04/50th_ceremony.html

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アジアツアーファイナルコンサートレポート

2007年03月15日

お待たせいたしました。
3月5日 Asia Orchestra Tour Final Concertのレポートをお届けいたします。


 『水の旅人』で華々しくコンサートが幕空けです。冒頭こそピアノのソロですが、後半になるにつれて壮大に発展していくオーケストレーション。これから始まる唯一無二のひとときに対する期待感をより一層盛り上げてくれたような気がします。コンサートを始めるに本当に相応しい楽曲です。新日フィルの方々のこのコンサートへのやる気を感じさせられるような、壮大で、かつ、清々しい演奏でした。アルト・フルートのソロで始まる『For You』は、アルト・フルートという楽器特有の、優しくも深い音色が、この曲のメロディーの美しさをより一層際立たせている気がします。続いて『NAUSICAÄ 2006』。オーケストラのそれぞれの楽器の特性を生かしつつ、様々な要素が絶妙に散りばめられていて、「風の谷のナウシカ」の映画が描く世界観を表しつつも、音楽だけで成り立つ世界観をも感じられる表情豊かな演奏でした。続いて『組曲・もののけ姫』。中間部の“タタリ神のテーマ”の箇所は、パーカッションパートの聞かせどころ。舞台後方から聞こえてくる和太鼓、そしてチャンチキと締め太鼓による特徴的な音色に加え、追われるようなリズムとが組み合わさって、聞いている側に迫り来るような効果的な緊迫感を生み出していました。そして第一部ラストは『交響変奏曲「メリーゴーランド」』です。ここまでの楽曲はほぼ作曲年代順になっていましたが、年を経る度に少しずつ作曲のスタイルもかわり、しかしながらどの楽曲にも久石らしさが存分に散りばめられています。実際に映画をご覧になった方もそうでない方も大変に聴きごたえのあるプログラムだったのではないかと思います。舞台袖に下がって来た久石は顔面に沢山の汗。これまでに無いくらいのすごい量の汗(by久石本人)が熱演を物語っていました。

 休憩を挟んで、第二部は『あの夏へ』から始まる、ピアノソロコーナーです。久石のピアノを心待ちにしてくださっているファンの皆様が息を呑んで久石の演奏を見守って下さっているその緊張感が何ともコンサート特有でした。そして『Summer』。実は先にホームページで募集した「私が選ぶ思い出の曲」のアンケートで堂々の一位に輝いたのがこの曲なのです。ファンの皆様の熱いリクエストに応えることができて何よりでした。そして、最近のコンサートではアンコールに演奏されることが多かった『アシタカとサン』は今回、コンサート本編でのお披露目。
皆さんお楽しみいただけたのではないでしょうか。
 ピアノソロコーナーの後はアルバム<Asian X.T.C.>の中から。『Dawn of Asia』、続いて『Hurly-Burly』、『Monkey Forest』、と、勢いのある3曲が続きました。実は、駆け上るようなフレーズがたたみかけるように続くのが特徴的なこの『Dawn of Asia』、リハーサルで最も時間を割いた曲なのです。続いての『Hurly-Burly』は遊び心満載な楽曲です。オリジナルはサクソフォーンが印象的でしたが、オーケストラバージョンも更に力強く、題名のとおり大騒ぎを物語る作品になりました。弦楽器だけという編成で演奏された『Monkey Forest』、テンポも速いし、複雑なリズム。他の楽曲にも増してしっかりと指揮をしなくては、と、久石は本番前に構えていました。『Asian Crisis』、後半に行くにつれての緊張感は圧巻でしたね。このまま続けるのかと思いきや、久石は、予定外にも、舞台袖に戻ってきました。舞台監督さんもたまたま近くにおらず、ドアの前にいたスタッフがなれない手つきでドアを開けましたが、舞台裏はちょっとだけ慌ただしい雰囲気になりました。実は、リハーサルになって、久石は急遽、指揮棒を持たずに指揮をすることになり(指揮棒を持つと、グリップを握ることにより手が固まってしまい、ピアノを弾く時に思ったように指が動かないかのように感じてしまうそうです。)、体全体を使って表現、指示をするわけで、肉体に対する負荷は、指揮棒を持ったときより重いらしいのです。次に繊細な気遣いが必要とされるピアノ演奏を控え、本番中の張りつめた緊張を緩める瞬間が必要だと判断したのでしょう。あれだけの興奮の渦の中で自分自身を見つめ直し、一瞬でも自分を客観的に眺められること、そして本番中でも冷静になれるその落ち着きぶりはさすがでした。
 舞台袖に戻って来たのは束の間の気分転換となったのでしょうか。一瞬のうちに息を整えて再び舞台へ向かった久石。気分を一新して舞台中央に置かれているピアノに向かいます。うねるような『HANA-BI』の演奏が始まります。ピアノと弦パートがなでるように奏でるメロディー、情熱を内に秘めた、何とも官能的な演奏でした。続いて『Tango X.T.C.』。冒頭のティンパニーが会場に気持ちよく響きます。後半、スウィングのリズムになって、オケのノリの良い演奏に、ついつい体が動いてしまったお客様も多かったのではないでしょうか。本編最後の曲は『Kids Return』。ピアノによって刻まれるリズムが会場の全員をクライマックスへと昇華させていきます。演奏が終わった瞬間には割れんばかりの拍手。いつにも増して内容の濃いプログラム、時間を忘れさせるひとときを味わって頂けたのなら嬉しいです。

 久石のコンサートに通い慣れた方はご存知だと思いますが、もちろんこれでコンサートが終わりなわけではありません(笑)。
 アンコール1曲目は、『A Chinese Tall Story』。ピアノが曲全体を引っ張る大切な役割を果たしている楽曲です。演奏が終わると久石は一度舞台袖に戻って来たものの、お客様も久石本人もこれで終わるとは思っているはずも無く(笑)、続いて『Oriental Wind』。もちろんフルオーケストラバージョンです。CMバージョンとは全く違うアレンジで会場全体を包み込むような壮大なオーケストレーションは、やはりコンサートに来て体で感じる最高の感覚ですよね。そして最後の曲、『My Neighbor, TOTORO』。最近は久しくコンサートで演奏することが無かったので、この曲が好きだった方には、嬉しいサプライズだったことと思います。そういえば、この曲の途中に、トランペットのソロがあるのですが、スタッフ曰く、アジア各地のオーケストラはことごとく音を外していたのだとか(それぐらい難しいということ)。ところがさすが新日フィル。リハの時ももちろん本番も、完璧でした。素晴しい!!!----- 難しいものを難しく聴かせない、それが難しいのです。
ここで予定していたアンコール曲、総て終了。会場は興奮と熱気に満ち溢れた様子。スタンディングオベーション、全く鳴り終わる気配を感じさせない温かい拍手。久石も今までに無いほどのお客様の反応に驚いていました。多くの花束を頂き、何回か舞台上で挨拶をしますが、それでもやはり鳴り止まぬ拍手。ここで、急遽、もう一曲演奏をすることになりました。久石が一言;「じゃ、『Zai-Jian』」。実はこの曲、リハーサルで演奏はしていたものの、本番では弾かないことになっていたのです。あまりの皆様の熱意に負けて急遽演奏することに。数ヶ月かけてアジア各国をまわったツアーをしめくくるに相応しく、アジアにインスパイアされた曲、そしてこの日会場に来て頂いたお客様とのZai-Jian(=再会)の意をかけていたのかもしれません。温かいお客様の拍手に久石は励まされ、今後の活動の活力としていくはずです。会場にお越しいただいた皆様、本当にどうもありがとうございました。

 リハーサルやツアー等で色々なホールを廻りましたが、サントリーホールは本当にいいホールですね。まず、音が素晴しい。豊かに響き、たとえ舞台から離れた席であっても遠さをあまり感じさません。世界的にも高く評価されているホールだけあります。そして施設の使い勝手も、スタッフの皆さんも、総てが最高級。お客様はもちろん、演奏する側も気持ち良いはず。久石本人も会場に大変満足をしておりましました。
 久石は、今回のコンサートのパートナーである新日フィルには並々ならぬ信頼を寄せています。今までの数ある共演経験からお互いへの信頼関係がしっかり築けているからこそ、お互いが言わんとしていること、表現したい音が、言葉を介さなくても伝えあえるのでしょう。
 コンサートに足を運んで下さった方々にはスタッフ一同心より感謝いたします。次回のコンサートでも今回以上に良いものを皆様にお届けできるよう久石本人、スタッフ一同努力して参りますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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ジルベスタ・コンサート in 大阪 シンフォニーホール

2007年01月18日

金洪才さんを指揮者として迎えた今回のジルベスタコンサート。
年の暮 れにコンサートをするのは初めてであり、金さんとは数年ぶり、関西フィルのコンサート・マスターの川島さんとも何年かぶりの共演で、久石は「楽しみたい」と話していました。

曲目はアジアツアーとほぼ同様ですが、久石は前半を除きピアノに専念、指揮者の方との共演になる為、演奏可能な楽曲が曲目に追加され、とても満載感のあふれるコンサートでした。
会場は超満員、年の暮れのひとときを会場にお越しいただいた方にはとても楽しんで頂けたのではと思う程素晴らしかったです。 初めてという事では、紙吹雪や、風船と言った演出もあり、皆さんも驚かれたのではないでしょうか?

スタンディングオベーションの歓声の中、1部、2部が無事終了し、アンコールの演奏も終わり、その後のピアノのソロの演奏も終わり楽屋に戻り一息ついていた久石のもとへステージマネージャーさんが走ってきました。
「拍手が鳴り止まず、観客の方がまだ久石さんをお待ちです!」
ステージ衣装をもう一度整える暇もないまま、ステージへ。
本当に長い間暖かい拍手ありがとうございました。久石も、「こんなのは初めてだ。すごいね。」と本当に驚いてました。久石共々感謝しています。

大阪での年越しは花火をみたり、美味しいうどん鍋を食べたり、明くる日は天満宮にて初詣、帰りの新幹線では日本酒をお供におせちを食べ、「毎年でもいいな」と久石が言うほど特別なひとときでした。

2007年もどうぞよろしくお願いいたします!

今回の模様の一部は、21日放送のTV-Tokyo 「みゅーじん/音遊人」にて放送されます。
乞うご期待!

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